戦後の混乱期の沖縄で所有権があいまいとなっていたとされる土地をめぐり、便宜供与の見返りに現金計5千万円の賄賂を受け取っていたとして、那覇市の前市議会議長が収賄容疑で逮捕される事件があり、12月6日に収賄罪で起訴された。前市議長とあって大きな話題となったが、賄賂を供与したとして贈賄容疑で逮捕された人物に驚いた人も多いのではないだろうか。バブル全盛期に金融業界を揺るがし、戦後最大と言われる不正利益供与事件の中心人物だ。あの元総会屋がこの時代になぜ沖縄で……。
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那覇地検が収賄罪で起訴したのは、那覇市議会前議長の久高友弘(75)、同市の飲食店経営の村山末子の両容疑者(71)。市有地とされる場所の所有を主張する市民らに便宜を図る見返りに、現金計5千万円を受け取ったとされる。
一方、現金を渡したとして贈賄罪で起訴されたのは、無職小池隆一(80)=鹿児島県=と、知人の会社役員、小原健司(70)=東京都=の両容疑者。那覇市の会社役員(73)も同罪で在宅起訴された(年齢はいずれも起訴時)。
このニュースが報じられたのを見て、
「小池って聞いて、あの小池か!と。跳び上がるほどびっくりした」
と驚いたというのが、元大和証券の役員Xさんだ。
四大証券を手玉に取った小池容疑者とは
1990年代、日本の金融業界、証券業界は小池容疑者にかき回され、大規模な経済事件が起きていた。
当時の小池容疑者は、総会屋として名をはせていた。第一勧業銀行(現みずほ銀行)の弱みに付け込み、1億円の融資を引き出すと、その後も融資額は迂回融資なども含めてさらに増し、400億円を超える不正融資にふくらんだ。
それを元手に、小池容疑者は当時の四大証券、野村証券、大和証券、日興証券、山一証券の株を買い増し、株主提案権を行使できる株主となった。