撮影/門間新弥

 WHOは少し前に妊娠初期の女性が自宅で中絶薬を使用しても安全であると発表しました。これは、多くの国で慣行となり、新型コロナ流行の際には、家庭で自己管理による中絶が奨励されました。イギリスなどでは、ここ1~2年で恒久的な実践となっています。

 日本でまだ多くを占める「掻爬法」という手術は時代遅れであり、安全な方法に置き換えるべきだとWHOがガイドラインで発表しています。安全で合法的な中絶の選択肢には、「吸引法」の手術と「中絶薬」の両方の方法を利用できるようにすることが大切ですが、日本ではどちらも普及していません。安全な中絶の知識を広め、学校の性教育も積極的に行う必要があるでしょう。

 望まない妊娠の問題の50%は男性の責任で、男性も教育が必要であることを忘れてはなりません。少女や女性たちが人生をより良いものにするムーブメントを日本でも築くために、ベストを尽くされることを祈っています。

(ジャーナリスト・古川雅子)

AERA 2023年12月18日号