「球威などの潜在能力は来日当時から素晴らしいものがあった。だが性格的に真面目過ぎて、細かい部分まで徹底的に気を使うことで時間がかかってしまったようです」(ソフトバンク担当記者)

 来日直後から福岡市内で一人暮らしを始め、ファーム施設のある筑後市までは電車を利用して通勤する毎日。時間が許せば家族が来日して世話をしてくれる時もあったが、極東の島国での生活は想像以上に厳しかったはずだ。

「来日当初は食べられるものも少なく精神的な悩みもあったのか、明らかに痩せてしまった。しかし今では筋骨隆々のアスリート体型ができている。練習熱心で技術も習得しており、どんどん成長するはず」(ソフトバンク関係者)

 今季は6月18日の阪神戦(甲子園)で2年ぶりの一軍登板を果たした。最終的に14試合の登板で3勝6敗、防御率3.38、77回1/3を投げて67個の三振をマークするなど来季へ繋がる数字は残した。

「実戦経験が乏しいため勝ちにつながる投球はできなかった。急に球がばらついて自滅に近いことも多かった。しかし球威に関してはリーグ屈指でハマった際には打者をねじ伏せる投球もあり、今後に期待を抱かせるには十分」(在京球団編成担当者)

 5年間在籍して一軍での登板機会は25試合、投球回数も101イニングのみで経験不足は明らか。しかし他球団の選手が「指にかかった時はえげつない」と口を揃えるだけのものを身につけているのも確かだ。

 これまでは結果を残すことはできていないが、オフには米国でも注目の存在になっていることも十分に考えられるという。また、来季はメジャーに戻るための“品評会”的な意味合いもあるだけに、どんなピッチングを見せてくれるか楽しみでもある。

「24歳とまだ若いので、NPBでの結果より球威やスタミナ面など、現在どのレベルにいるかが重要となる。また日本野球の強みである細やかさも習得していればいうことなし。1年後には米国の複数球団による争奪戦になっている可能性は高い」(MLBアジア地区担当スカウト)

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