奥山佳恵さんと美良生(みらい)くん(画像=奥山さん提供)
この記事の写真をすべて見る

 ダウン症の子ども、美良生(みらい)くんを育てる俳優の奥山佳恵さん(49)。これまでブログや新聞の連載などで、美良生くんの子育ての日々や気持ちの揺らぎを率直につづってきた。だが、それでもダウン症児に対しては世間の誤解も多い。改めて、奥山さんにダウン症の告知を受けたときの心情や、受け入れるまでの苦しい日々などについて語ってもらった。

【写真】「かわいい!」と話題のダウン症モデルの女の子

*  *  *

「自分自身の心が大きなけがを負ったということがわかって、心の中で血がダクダクと流れてる感じがしました」

 2011年に出産した、次男・美良生くんが「ダウン症候群」(以下、ダウン症)だとわかったときのことを奥山さんはこう表現する。

 美良生くんが生まれてからの育児の様子を描いた自著『生きてるだけで100点満点!』(ワニブックス)には、医師から告知を受けたときの心情がつづられている。

<血の気がサーッと引くのが分かった。

 先生はいろいろ説明をしてくれている。(中略)だけど、正直、聞いているようで聞いていなかった。先生が何を言おうが、何も話が頭の中に入って来ない。

 私はただ、どんどん口が渇いていくのが分かった。体もどんどん冷えていく感じがする。頭の中は真っ白――>

 奥山さんの不安を最もかき立てたのは、ダウン症について、あまりにも知らなかったことだった。

「『家の中がめちゃくちゃにされてしまう』とか、『私の好きな仕事ができなくなってしまうんじゃないか』とか、いろんな不安で頭がいっぱいでした。よくわからない『ダウン症』というものに対する不安や恐怖が『モンスター化』して、私の頭の中で暴れ回っていたのだと思います」

著者プロフィールを見る
唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

唐澤俊介の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
大人になってからでも始めやすい、お手軽楽器♪
次のページ
最初の子育てでノイローゼ気味に