公文の勉強をする美良生くん(画像=奥山さん提供)

心臓に三つも穴が開いている

 ダウン症児を育てていくことは私にはとてもできない――。そんな気持ちが奥山さんの胸に去来していたという。そこには、長男・空良(そら)くんの子育てのときの経験も関係している。

「最初の子育てのとき、育児ノイローゼの一歩手前ぐらいまで追いつめられた時期があったんです。空良は生まれたときが最大の“反抗期”で、本当に寝なくてずっと泣いてるんですね。いま思えば、寝なくても、泣いてても、私のペースでやればよかったんですが、泣きやませようとか、何とか寝かそうとか一生懸命になりすぎてしまって、自分自身が寝られなくなっていました」

 あまりにも疲弊していた奥山さんは、数日間、お風呂に入りそびれていたという。それは夏場の暑い時期で、育児のサポートで自宅に駆けつけてくれた母親から、「公園の臭いがする」と言われるほどだった。

 育児に耐えられなくなった奥山さんは、空良くんが9カ月のときに、夫の勧めで、神奈川県藤沢市に移住する。

 空良くんの誕生から9年ほどたったとき、奥山さんは第2子を妊娠。11年9月、無事、美良生くんを出産する。

 しかし、出産から2日後に、美良生くんは黄疸(おうだん)の数値が基準値を超えてしまい、10日間、入院することに。その間、心臓に三つも穴が開いていることがわかった。「心室中隔欠損」と診断され、手術が必要である旨を伝えられる。染色体に異常のある子どもは、心臓に穴が開いていることが多く、医師から染色体の検査も提案されたという。結果はダウン症だった。

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長男は「弟であることに変わりはないから」