照明の演出も印象的だ。光と影のコントラストを生かし、独特の雰囲気を醸し出す。塩塚いわく「照明の方は、初期からもうずっと一緒にこの世界観を創り上げてきてくれている方で、私たちのことも理解してくれていて信頼しています」。そして羊文学の表現に欠かせないともいえる衣装は、本人たちが尊敬するデザイナーやスタイリストとともに考えているという。自分たちが信頼できる才能あふれるクリエイターとともに羊文学の世界を作り上げているのだ。
音楽だけじゃない“羊文学”という世界
ファッションブランド“spoken words project”がディレクションするホームウェアブランド“PAMM”とのコラボレーションアイテムを発売するなど、ファッションやアートとのつながりも多い。
「“PAMM”とのコラボは、私が展示会に足を運んで、“一緒にやりたいんですよね”と相談したのがきっかけ。以前はそういう感じで出会った人と仕事をすることが多かったですね。もともとファッションやアートが好きだし、そういう要素があったほうが受け入れてもらいやすいのかなと。ライブの衣装もこだわっていますね。ロックバンドの衣装って渋いか派手かになりがちですけど、一人の大人として、自分たちが好きな服を着てステージに上がりたいので」(塩塚)
「ライブの服はすごく大事。ファッションによって自分に自信を持てるようになることもあるので」(河西)
塩塚は大学で美術史学を専攻していたという。アートへの強い興味は、大学で学んだことも影響しているのだろうか?
「いや、それはあまり関係ないかも(笑)。美術史学を専攻したのは、現代アートがよくわからなくて、“アーティストって、何を考えて作品を作ってるんだろう?”と疑問だったからなんです。あと、アンダーグラウンドのライブハウスで起きてることにも興味があって。ずっと前ですけど、脳波計測の機器を頭に付けた女の人が曼荼羅を見ながら、脳波の変化によって音が変わるというショーをやっているのを見たことがあるんですよ。普通に暮らしていたら知り得なかったようなことも、ちょっと興味を持って調べてみたら、想像もしないような面白いことが起きている。そういう表現が好きだし、自分の音楽活動の根底にもつながっている気がします」(塩塚)