羊文学。一度耳にすれば忘れない、個性的な名前を持ったロックバンドが注目を集めている。
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メンバーは塩塚モエカ(Vo., Gt.)、河西ゆりか(Ba.)、フクダヒロア(Dr.)。海外のオルタナティブロック、シューゲイザー、ポストロックの影響を感じさせる音楽性、塩塚が紡ぐ文学的な歌詞の世界が話題を集め、2020年にメジャーデビュー。アニメ「平家物語」オープニングテーマ「光るとき」、TVアニメ「『呪術廻戦』第2期」エンディングテーマ「more than words」などがヒットし、国内最大級の音楽フェス「フジロックフェスティバル」のメインステージに出演するなど、活動の規模を拡大し続けている。
順調にキャリアを重ねている3人だが、「本質的な部分は変わっていない」(フクダ)と胸を張る。
「インディーズの頃から“アンダーグラウンドとメインストリームの両立”を掲げていて。自分たちが好きなシューゲイザー、ポストロック、ドリームポップなどを知らない人にも羊文学の音楽を届けたいという思いで活動してきて、少しずつ実現できているという実感もありますね」(フクダ)
「私たちはなかなか人気が出なかったんですけど(笑)、その頃も“売れたい”というより“自分たちがやっていることの正しさを証明したい”という気持ちが強くて。バンドが大きくなるにつれて状況も変わってきますけど、根本の思いみたいなものはずっと持っていたいし、一つひとつ丁寧にやっていきたいと思っています」(塩塚)
「ライブの規模が大きくなって、メディアへの露出も増えて、今まで知らなかった世界が見え始めているのが現状なのかなと。広い海に入っていくような感覚もありますけど(笑)、バンドを始めたときの気持ちを常に思い返すようにしています。自分たちの特徴や強みを大切にしないと、この先はやっていけないと思うので」(河西)
羊文学のライブで感じるのは「とにかく音がいい」ということ。音響へのこだわりは?と尋ねると、「信頼するサウンドエンジニアの方たちのサポートもあってだと思います」と言う。