咳に喘鳴が加わったら、ぜんそくを疑う

 咳ぜんそくでは咳が表れるだけですが、それ以外に、息苦しさや、主に息を吐くときに喘鳴があったら、ぜんそくを疑うことになります。

 では、ぜんそくになるとなぜ、喘鳴や呼吸困難が起こるのでしょうか。

 咳ぜんそく・ぜんそくのいずれも常に気道に炎症が起きていて、気道の壁である粘膜がむくんだり、粘膜の上皮の下の「基底膜」が厚くなったりしています。後者を「気道リモデリング」と呼びます。

 ぜんそくでは、さらに粘膜の炎症や気道リモデリングが強くなり、痰(たん)が増え、空気の通り道が狭くなっています。そのため、呼吸がしにくくなり、空気が通るときに喘鳴や呼吸困難が表れるのです。ウイルス感染などによる「急性増悪時」には(「ぜんそく発作」と呼ばれることもあります)、炎症や、気管支の平滑筋という筋肉の収縮がさらに悪化し、空気の通り道が極端に狭くなって、強い症状が表れます。

大人になってからのぜんそく発症も多い

 ぜんそくというと、子どもに多い病気というイメージがありますが、成人の患者も多く、成人ぜんそくの6割以上が成人後に初めてぜんそくを発症したケースだといいます。子どものぜんそくが男児に多いのに比べて、成人では女性のほうが多くなっています。

 近年は高齢者のぜんそくも増えています。高齢者では、加齢や長年の喫煙などの影響で呼吸器の機能が低下していたり、心臓病などの持病を抱えていたりなどで、症状が悪化しやすい傾向にあります。また、後述する吸入薬を上手に扱えないなどで、治療がじゅうぶんできないケースもあります。ぜんそくによる死亡数は2021年には年間1000人強にまで減っていますが、その約9割が65歳以上の高齢者とされています。

成人ぜんそくと子どものぜんそく、ここが違う

 成人のぜんそくと子どものぜんそくはいくつかの点で異なると、国立成育医療研究センター総合アレルギー科診療部長の福家辰樹医師は話します。

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成人のぜんそくでは、アレルギーの関与が小さい