伊沢:難しくなったし、クイズを大量に覚えて、早押しクイズの練習をしてみたいな特殊な訓練を積んだ者が勝ちやすくなったんですよ。先輩方の力もあってだんだんと有名になってきて、僕が高2で引退した頃は、部員が70人ぐらいになっていました。
大宮:受験勉強は?
伊沢:高2までは、クイズ一本集中で、授業中も教科書立てて、裏でクイズの問題集を読んでたんで、勉強全然してなかったんですよね。で、切羽詰まって、1年半はクイズを断って1日12時間勉強してましたね。
大宮:すごいなぁ、いろんな意味で。現役で?
伊沢:はい。学年に400人いて、150人東大に受かるような学校なので、もう、情報戦で有利というか。学校に行くだけでいい塾の先生とか、いい教材とかの情報が入ってきて。
大宮:予備校とかの情報も?
伊沢:そうです。例えば校内で「東進(ハイスクール)の林修の講座、申し込んだか。もう締め切るぞ」みたいな情報がブワッと回るんです。
大宮:林先生の授業っていいの?
伊沢:かなり論理的な教え方なので伸びを実感する子は多いですね。
大宮:深い! 他の教科はどこへ?
伊沢:英語は人づてに「先生が面白いよ」って聞いてヴェリタスに。哲学の授業みたいだったけど面白くて、すごく伸びました。あとは東進と臨海(セミナー)で数学を、古文漢文は学校で。やる気はあったので、情報という武器はとても有用でした。
大宮:いや、伊沢くんて、ストレートで気持ちいいね。
伊沢:今もそうですけど、僕はずっと集団戦で得してきたと思います。
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学 薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。第80回ベネチア国際映画祭に監督・脚本を務めたVR映画「周波数」がノミネート。12月6日から、阪急うめだ本店で個展「A Wonderful Garden -8つのお庭がある展覧会-」を開催
伊沢拓司(いざわ・たくし)/1994年、埼玉県出身。2017年、東京大学経済学部卒業。10、11年に「高校生クイズ」史上初の個人2連覇。16年に東大発の知識集団・QuizKnockを発足。「東大王」などへのレギュラー出演や、全国の学校を無償で訪問するプロジェクト「QK GO」を行うなど、幅広く活動中
※AERA 2023年12月11日号