「自分の10年間はすべて無駄になってしまうのか」と自問自答もした。撮影/写真映像部・東川哲也

――自分が努力して築き上げてきたものが、すべて崩れ去っていくような感覚に襲われ、苦しい時期を過ごした。それでも、岡田さんは現在に「後悔はない」という。

岡田:バッシングを受けて、「自分の10年はすべて無駄になってしまうのか?」と考えて苦しんだり、折れそうになったこともありました。でも、今は一連のことを経験して、強くなった自分もいます。家族や友人、そして彼の支えもあり、「自分は一人じゃない」と思えたことが大きかったです。彼はピンチの自分を救ってくれた「かけがえのない存在」だし、一連のことは、「自分の人生の一つのページ」と思えるようになりました。

「歌を歌おう」と思うように

 あんなに憧れてなったアイドルだけど、アイドル人生を一生懸命生き抜けば、いつ辞めても後悔がないと思っていたんです。10年続けていくうちに、「AKBを卒業したら、芸能界を引退するんだろうな」とも思っていました。具体的な進路があるわけでもなくて、卒業と同時に芸能界を引退して、「居酒屋で働くか」みたいに、ぼんやりと考えていた感じです。

 それが、歌を歌いたい、歌手として生きたいと思うようになった。それは、私の歌を聴いて、「こんな素敵な歌い手さんはいないから、歌い続けてほしい」と言ってくれた彼がいたから。その言葉がすごく胸に刺さって。そんなふうに思ってくれる人がいるなんて、それまで私は想像もしていなかったんです。あの言葉がなければ、今の私はないと思っています。

――「10 年間のアイドル人生に悔いはありません。これからも私の大好きな AKB48 をよろしくお願いします」。今年 4 月、秋葉原のAKB48劇場で卒業公演を迎え、10 年というアイドル人生に終止符を打った。公演では、自分の元からメンバーがひとりずつ離れていく、という演出を自分で決めた。

岡田:悔いなく、終われました。やりたいことは全部やれたし、もう私がここで見られる景色はない。ファンの方は「まだまだ一緒に見たい景色があった」と言ってくださるんですけど、私はもう違う場所で頑張るしかないなって。一人の歌い手として頑張りたいという意思もありました。

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