働くことは自己表現
誰のために何をやるか、自分だからこそやるべきはどんなことかを考え続けました。新しい事業として始めたのが、専門医と提携して更年期障害に対する個別の解決策を提示するサービスです。母が亡くなったあと、私は様々な「お母さん」に育ててもらいました。何人かの友人のお母さんがお弁当をつくってくれたり、居候させてくれて家族のように接してくれたり。そのなかに更年期障害で離職せざるを得なかったお母さんがいました。思い返してみると、実の母も闘病中に更年期障害にも悩んでいた。これこそ自分がやるべきなんだと思える事業になりました。それに、更年期は女性だけの問題ととらえられがちですが、夫婦関係や家族関係、女性が働く職場にも影響します。社会のジェンダーギャップを埋める事業に育てていきたいです。
働くのはもちろん生活するためでもあるけれど、それだけじゃよくないと思っています。働く時間は、日々の3分の1を占める長い時間です。だから、働くことは自己表現だと思うし、社会のためになることをしたい。
起業したのが正解だったかどうかはまだわかりません。起業したことでプライベートでも大変なこともありました。でも正解にするしかないし、全部自己責任で誰のせいにもできない環境はいい意味でストレスで、楽しいですね。
(編集部・川口穣)
※AERA 2023年12月11日号