Z世代は社会問題への関心が強いとされ、学生時代に起業する人も少なくない。Z世代の経営者は何がきっかけで起業し、どんな価値観を大事にして働いているのか。My Fit 代表取締役社長・山田真愛さんに聞いた。AERA 2023年12月11日号より。
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高校2年の春、母を乳がんで亡くしました。闘病の末に亡くなった母との別れから痛感したのは、健康寿命を延ばすことの大切さです。ひとりひとり生活習慣や遺伝子が違うのに、同じような治療や健康ケアが行われることにも疑問を抱きました。「個別最適化された健康ケア」を生涯の目標に定めたのはそのころです。社名のMy Fitにもそんな思いを込めています。
大学4年生のとき、栄養成分などを個別最適化したパーソナライズプロテインを開発・販売するためにクラウドファンディングで資金を募ったところ、予想以上の額が集まりました。これをきっかけに予定していた就職をやめて起業することに。ただ、プロテインの事業をやりながらずっと悩んでいたというか、違和感があったんです。プロテインを選んだのは、スポーツジムでアルバイトをしていて悩む人を多く見てきたこと、自分に知見があったこと、ビジネスとして成立しそうだったことからです。運動法や食生活のアドバイスも組み合わせることで、健康につながる事業でもあったと思います。でも、自分が生涯をかけてやりたいことなのか、社会にとって絶対に必要なものなのかという思いが消えませんでした。インタビューを受けるともっともらしいことを話すけれど、自分をつくっているような感じがぬぐえませんでした。