SNSやゲーム、動画など、スマホは何時間でも楽しめるのに、勉強するのはめんどくさいししんどいしやる気が出ない......。そんな皆さんは多いことと思います。それなら、スマホに依存するように「勉強に依存する状態」を作り出せればいいんじゃない――?
そんな"勉強麻薬に脳が侵される"方法を教えてくれる書籍が『勉強嫌いでもドハマりする勉強麻薬』です。著者は10年以上、約1000人の生徒を直接指導し、YouTubeなどのSNSでも勉強に関する発信をおこなっている「海外塾講師ヒラ」さん。「勉強することがあたりまえになり、勉強になんの抵抗感も持たなくなり、勉強時間を自分から勝手に増やすようになっていくブースト状態」(同書より)である「勉強依存者」になるにはどうすればよいかが同書のテーマとなっています。
海外塾講師ヒラさんが提唱する「勉強麻薬」は、「情熱」「密着」「達成」「環境」という4大成分から構成されているといいます。では、たとえば「密着」とはどのようなことを意味するのでしょうか。
「勉強時間は重要ではない。重要なのは質だ」という考えがありますが、海外塾講師ヒラさんはこれは間違いであり、「たくさん勉強するから質を上げていける」「まずは『量』、そして『質』」(同書より)だと言います。そこで、勉強時間を増やすために取り入れたいのが「密着」です。これには英単語帳、問題集、ノートといったアイテムを肌身離さず、愛着が湧くレベルで持ち歩くのがよいそうです。なぜ私たちがスマホに依存するかといえば、それは日々「触れている」から。「そうであれば、依存したいものを用意して意図的に触れ続ければいい」(同書より)というわけです。どういったアイテムを選び、どのように自分に密着させればよいかなども具体的に書かれていますので、興味を持った人は今日からすぐにでも取り入れることができるかと思います。
このように、同書では第1章から第4章にかけて勉強麻薬の4大成分についてそれぞれじっくり解説されています。そして、この4つは「てんでばらばらな4つに思えるかもしれませんが、実はすべてが密接な関係を築いて」(同書より)いるのだそうです。第5章では、「情熱×密着×達成」「情熱×達成×環境」など、各成分をかけあわせた使い方なども伝授しています。
特に私が面白いと感じたのが、第8章の「勉強ジャンキーたちのヤバすぎる勉強法7選」。勉強依存者の狂気が垣間見えますが、その中にも「書き殴り勉強法」や「撮影勉強法」など実践的な勉強法として参考になるものもあって、ぜひとも試してみたいと思えます。
勉強が本分の学生に役立つ内容ですが、メイン読者は「社会人」を想定して書かれているという同書。資格試験や検定試験、語学習得などで圧倒的な結果を出したい人にとっての"読むドラッグ"になるかもしれません。
[文・鷺ノ宮やよい]