鍵山優真(20)/フリーでは演技中盤のトリプルアクセルで転倒したものの、一番の見せ所であるステップシークエンスでエネルギーを爆発させた(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
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 フィギュアスケートGPシリーズNHK杯(11月24~26日、大阪)が行われた。男子ショートでは宇野と鍵山が頂点を目指す演技を披露した。AERA 2023年12月11日号より。

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 2人の五輪メダリストは、それぞれのテーマを胸にNHK杯に挑んでいた。怪我からの復帰のシーズンとなる鍵山優真(20)は初のファイナル進出を目指し、世界王者の宇野昌磨(25)は「今季は表現力を追求する」と宣言。普段から中京大の同じリンクで練習することも多い2人は、2季ぶりの国際大会での対戦となった。

「優真君は3年前にグッと伸びてきて、僕にモチベーションを与えてくれた存在。恥ずかしくない選手でいられるよう頑張りたいです」

 宇野がそう語れば、鍵山も照れながら返す。

「昌磨君は普段からすごい練習量で、追いついてない部分がたくさんある。『モチベーション』と言われる存在であり続けられるよう努力したいです」

 2人の対戦でどんな化学反応が起きるのか、期待が高まった。

鍵山の力強い滑り

 ショートは、鍵山が先に登場。今季から師事するカロリーナ・コストナーと父、2人のコーチに笑顔で送り出された。

「父からはジャンプの注意点を、カロリーナさんからは『完璧じゃなくて素晴らしい演技を』と言われて、いつも通りの自分で臨むことができました」

 今季初めて4回転ジャンプを2本に増やして挑むと、パーフェクトの演技を披露。中でも会場を沸かせたのは、力強い滑りだった。イタリアの至宝と言われ表現力に秀でたコストナーの指導で、感情をこめた滑りに磨きをかけてきた。

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