屋上には、バスタブでゆったり入れる水風呂も設置されている。体調に合わせて、水温や水質も調整することができるという。
「体調や好みに合わせてアレンジできるように、地下水(五ケ瀬川の伏流水)と冷水、常温水の三つの蛇口がついています。通常は18度前後の常温水で準備していますが、地下水の蛇口をひねれば、清流日本一の五ケ瀬川の伏流水を汲み上げた天然地下水掛け流しの清らかで柔らかい肌触りを楽しめます。より冷たい水風呂が好きな人は冷水の蛇口をひねれば、最低10度程度まで下げることができます」(笹野さん)
こだわりポイントにはもう一つ、「薬草ロウリュ」もある。ハーブや薬草を薬剤師監修のもと、季節に合わせてブレンドしているという。そのため、一年中、香りや蒸気の異なるサウナを楽しむことができる。11月の薬草は、よもぎ(艾葉、がいよう)、みかんの皮(陳皮、ちんぴ)、ラベンダーだ。陳皮は漢方では風邪薬の生薬としても使われている薬草だ。血行促進効果や気の巡りをよくしてリラックスさせる効果もある。
「私がプロデュースするサウナ施設でおこなうロウリュはどこも、完全オーガニックの薬草・ハーブにこだわっています。サウナ室で過ごしながら、セルフロウリュで薬草の有効成分を存分に全身の肌から吸収してもらえれば」(笹野さん)
サウナは2023年10月19日にオープンしたばかりだが、早速、診療所に通院する患者をはじめとする利用者から、サウナ後に「よく眠れた」「からだがすっきりした」「体調がよくなった」という声が聞かれはじめているという。
利用者の一人、長年、診療所に通院する女性(73歳)は慢性腎不全で人工透析中のため、体の冷えや不眠に悩まされていた。普段はあまり汗をかけないため、「サウナで汗をかきたい」という思いもあって、風SAUNAを利用したという。入浴後、体の冷えが軽減したのをかなり実感できた。なにより、「久しぶりに夜中に目が覚めず、朝までぐっすり眠れた」と喜んでいるという。
今回、サウナがつくられたのは診療所の2階部分。1階の診療所待合室にはフラワーショップと手打ちそば店、カフェも同時にオープンした。延岡を愛してやまないという榎本院長は、今回のサウナ施設のオープンをきっかけに、診療所が地域のつながり拠点となってほしいと願っているという。