※写真はイメージです(写真/Getty Images)

コロナが5類感染症へ移行し、はじめて迎える年末。忘年会・新年会が増えることは想像に難くないが、意外と気乗りしない人も多いだろう。その背景には、気分や協調性の問題以外に、社会不安症の一種である「会食恐怖症」の存在も。自身も会食恐怖症を経験したことのある心理カウンセラーに、代表的な症状や原因、対処法について聞いた。

【グラフ】会食恐怖症の発症のきっかけが「完食指導」と回答は6割

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 誰かと一緒に食事をすることに対して、強い不安感・緊張感を抱く「会食恐怖症」は、深刻化すると、社会生活に支障をきたすこともある。日本会食恐怖症克服支援協会の代表理事を務める山口健太さんが会食恐怖症を発症したのは、高校1年生の時。きっかけは部活動での食事指導だった。

日本会食恐怖症克服支援協会の代表理事で、自らも会食恐怖症経験者の山口健太さん

「体づくりの一環として、大量の食事を食べる指導がありました。でも、子どものころから小食だった僕は、食べなきゃいけないという緊張も相まって、ノルマの量が食べられず……。合宿の食事の前に、部員たちの前で指導者から注意を受け、それから『完食できなかったらどうしよう』と思うようになりました」

 山口さんは、会食恐怖症に陥る根本的な原因を自己肯定感が低いことにあると分析している。その上で、食事場面での嫌な出来事がトラウマとなるケースが多い。

 また、会食恐怖症などの社会不安症は10代半ばの思春期に発症することが多いと言われる。山口さんは、高校の合宿以降、食事を迎える際に「完食できなかったら」と考えるようになり、徐々に食事に対して恐怖を感じるようになったという。そして、誰かと食事をすることを考えると吐き気を催すなどの「予期不安」や、食事中に食べ物がのみ込めない嚥下(えんげ)障害などを引き起こした。

「高校時代の一番の親友とだけは不安なくお昼ごはんを食べることはできましたが、初対面の人や交流の少ない人との食事には緊張しました。家族との外食も行きたくありませんでした」

 会食恐怖症からくる身体症状には、上記のほかに手の震え、動悸などがある。食事に対する恐怖心が強くなると、ビジネスシーンでの会食に参加できなくなり、同僚や上司とのコミュニケーション不足などから自身の立場に不利益が生じる可能性もあるという。一方のプライベートでは、異性との食事ができないためデートに行けず、なかなか恋人ができないという問題も発生することが考えられる。就活中の学生であれば、人と食事をしない職を選び、将来の選択肢を狭めてしまう可能性も。

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山口さんが会食恐怖症克服をはじめたのは、高校3年生の時