「緊張度30~40%くらいの行動から挑戦してみるといいと思います。例えば、『異性との一対一の食事』は緊張度100%だけど、『ひとりで定食屋さんに行く』のは30%という場合は、それほど緊張しない後者を何度か繰り返してみます。すると、そのうち慣れてきて緊張度が下がっていきます。自分で克服できたと思ったら、次に緊張する『バイト仲間との食事』などにチャレンジしていく。これを繰り返して、難易度の低い食事シーンから克服していきました」

周囲に合わせすぎないことが大切

 会食恐怖症の一番の敵は、食事に対する恐怖心だ。「もしかしたら、自分も会食恐怖症なのではないかと感じたら、自分自身を追い込まずに『完食しなくてもいい』『残してもいい』と慰めて、心を落ち着かせるように心がけたい」と山口さん。

 一方、まわりの友人が会食恐怖症の場合は、あまり気を使わなくていいそう。「『あなたが食べないなら私も食べない』となると、当事者は罪悪感を持ってしまいます。なので、まわりの人は自由に食事を楽しんでほしいですね。また、『無理に食べなくてもいいからね』『私はすごい食べちゃうけど、気にしないで』と付け加えると当事者は安心できるかもしれません」と続ける。

 最後に、自身の子どもが会食恐怖症の場合は、「うまく担任に相談して、なるべく子どもが安心して給食が食べられるよう、お願いするのが大事です。家庭では、無理に食べることを迫らない、せかさない、不安はきちんと聞くの3原則を守りましょう。また、親の不安は子どもにも伝染するので、マイナスに捉えすぎないこともポイントです」

 日本人は「出された食事はすべて食べる」ことを美徳とするが、会食の目的は決して完食することではない。「無理して食べなければ」と思いすぎず、なおかつ、自身が感じている不安をシェアすることで、会食への参加が楽しくなるかもしれない。

(文/安倍季実子)

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