というのも、はるか上空のGPS衛星から得られる位置情報は誤差もそれなりに大きく、自動車の運転というタスクに用いるには精度が粗いからです。そのため、GPSでは大まかな位置の把握を、センサーで細かい位置の把握を行っています。

 ただし、センサーから送られてくるデータにはノイズ(ブレや乱れ)が含まれているので、この情報だけでは細かい位置の把握を十分な精度で行うことはできません。

 そこで、自動運転車のAIは、自分自身が出した運転の命令に基づいて位置の推論(先ほど右に30cm移動するように命じたから、今は30cm動いているはずだ、といったように)を行い、それをセンサーのデータと照合することで精度を上げています。

 車が動くと、すべてのセンサーから、どんどん新しいデータが入ってくるので、AIはこれらを使って、随時新しい現在位置を推定し、それが“本当の現在位置”に一致する確率をはじき出していきます。ここで使われているのがベイズ統計学なのです。

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