ともにまだ20代(高橋が28歳、泉が26歳)と年齢的にも余力が感じられ、交換要員として退団したウォーカーも外国人枠の問題で出場機会が減っていたことを考えると、巨人にとってプラスの大きいトレードだったという印象だ。また、オリックスから獲得した近藤も2017年からは3年連続50試合以上に登板した中継ぎのスペシャリスト。2020年にトミー・ジョン手術を受けて長期離脱を余儀なくされ、今年も防御率5点台と苦しんだが、イニング数を上回る奪三振をマークするなどまだまだ力はある。課題の中継ぎ陣整備は進んだ印象だ。
そして来季に向けた補強として思い切った動きを見せたのがドラフトでの指名だ。1位で大学球界屈指の右腕である西舘を抽選で引き当てると、2位から5位までは全員が大学卒の社会人選手を揃えたのだ。ここまで即戦力に振り切った指名は過去にはなく、不安の声も多いが、直近だけを考えれば一軍で使える可能性のある選手が増えたことは確かだ。特にチーム事情的にチャンスが多くなりそうなのが2位の森田と5位の又木のサウスポー2人だ。左投手の先発は外国人への依存度が高く、リリーフも高梨雄平、中川皓太に次ぐ存在は不安定である。来年で森田は27歳、又木も25歳(ともに早生まれ)と既に中堅と言える年齢だけに、1年目から勝負のシーズンとなりそうだ。
こうして見ると直近の課題である投手陣については整備が進んでいる印象を受けるが、一つ気がかりなのがクローザーだ。今年は大勢が2年目のジンクスで成績を落とし、代わりを務めた中川もタイプ的には中継ぎのように見える。大勢の調子が上がらなかった時に抑えを任せられる投手が補強ポイントとなりそうだ。
野手で補強するなら外野とファーストを守れる選手ではないだろうか。中田が抜けて岡本和真をファースト、坂本勇人をサードに回すのが既定路線と見られているが、坂本は近年コンディションが不安定で1年を通じて出場し続けるのが難しくなっている。外野も丸佳浩、梶谷隆幸などベテランに頼るところがまだまだ多い。ウォーカーがトレードで移籍し、ブリンソンも退団見込みと見られるだけに、彼らに代わる外国人野手の獲得を目指したいところだ。