今から思うと信じられないが、2012年には年平均で約80円だったアメリカドル。それから10年以上経つ2023年10月の段階で、150円まで下落している。8割以上の下落である。アメリカのGDPは2012年当時米ドルで日本のGDPの2.6倍だったが、今や5倍以上の開きがある。一人当たりで比較しても日米の差は2.25倍となっている。個人としての日本人の豊かさはアメリカの半分以下なのだ。

 2010年に日本のGDPを追い抜いたお隣中国。2012年には徐々に差を広げ、日本より36%大きかったが、10年経って中国のGDPは日本の4倍以上と急拡大して大差をつけている。

 長らく「世界第2位の経済大国」が日本の枕詞だったが、このところ「世界第3位」。それどころか、実質でインドに抜かれる日も近く、その後インドネシアやブラジルが日本を抜いていくだろう。

 私の住むシンガポールは一人当たりGDPではアメリカよりさらに豊かで、日本と比較すると日本の2.45倍の豊かさだ。経済だけではない。2012年当時の世界の軍事力はアメリカが圧倒的に1位で、アメリカは世界の警察官と言われ、国家単位の戦争はもはや起こらないとみられていた。ところが、2022年2月にはロシアがウクライナに戦争を仕掛け、これを書いている2023年10月時点ウクライナ戦争は出口が見えない状況に見える。国家同士の領土をめぐる総力戦が21世紀でも消えていないのだ。

 それどころか日本のそばの東アジアでは台湾有事が危惧されている。米軍基地が集中する沖縄のすぐそばの台湾で武力衝突が起こることは、われわれ日本人にとってまったく他人事ではない。台湾をめぐって米中が衝突すれば米軍基地のある沖縄は戦地となり、日本への物流のチョークポイント(地政学的に重要な海上水路)である台湾海峡、バシー海峡が封鎖されてしまえば、食糧の62%やエネルギー輸入の88%をブロックされ干上がってしまう。食料自給率132%、エネルギー自給率104%のアメリカとは立場が違う。

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日本はますます鎖国的になっている感じが…