田村耕太郎著『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(朝日文庫)
田村耕太郎著『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(朝日文庫)

 日本を取り巻く世界の経済や国際関係が激変する中で、シンガポールからたまに日本を訪れる私の目には、残念ながら日本はますます鎖国的になっている感じがする。コロナ禍で物理的にも国を閉じ、外国人をウイルス扱いするような水際対策を長らく取り続けた我が国は、どこかで「国を閉じて皆で貧しくなれば大丈夫」との暗黙の了解を社会で交わしているようにも見える。私の想いが間違っていてほしいものだ。

 江戸時代はほぼ国を閉じても存続できた日本だが、当時とは人口数も経済力も格段に違う。一見鎖国してもやっていけそうに思えるかもしれないが、実は日本は食料もエネルギーも自給できず、自国を自力で防衛する能力も持たない(持てない)。世界との関係がなければ存続できない国なのだ。

 このまま、人口を減らし、年老いて貧しくなってはいけない。日本は西欧の端っこや北米にあれば、今の経済力でもまだのんきにできるだろう。しかし、われわれの置かれた環境ではこれ以上国力を落とすことは許されないと思う。

 これからの日本で生き抜いていくからこそ、ぜひとも世界を見てきてほしい。よく「海外で何を見たらいいですか?」という質問を受けるが、スーパーに行ったり、外食に行ったり、マクドナルドやスターバックスに行くだけでいい。とにかく海外に行けば、今の日本人の購買力の低さがわかり、これはやばいなと実感できる。

 日本は、例えば“ラグビー日本代表チーム”をイメージしたものをつくれば、最強になれる。今のラグビー日本代表は、チームの半分以上が日本で生まれていない選手で出来上がっている。日本で生まれていなくても、日本のために体を張れば強い。そんな代表を日本国民の多くが応援している状況は希望が持てる。

 世界最強国家アメリカの強さはまさにそこにある。アメリカで生まれた人ばかりでやっていたらアメリカは強くなれない、と彼らはわかっている。大谷翔平選手のように、アメリカで生まれていない選手を受け入れて、世界最高のリーグを作り盛り上げていく。

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