がんの終末期で積極的な治療ができなくなると、病院から退院を促される。自宅に帰りたい場合、どのように手続きをするのか、治療を拒否した患者が最期を自宅で過ごす方法はあるのか、専門家に取材した。好評発売中の週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2024年版 在宅医療ガイド』から、前編に続き、後編をお届けする。
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【2】まだ通院可能だがもう積極的治療はしない
救性期病院での治療がまだ可能で、通院できる体力もあるが、「延命目的の治療は望まない」という人もいる。
がん研有明病院トータルケアセンター地域連携室看護師の佐藤友貴絵さんはこう話す。
「『治療の副作用などでからだが動かなくなってしまうのは嫌なので、緩和治療を受けながら、穏やかに過ごしたい』と希望する患者さんが少なからずいます。こうした人は自宅での看取りを希望するケースが多いです」
主治医から嫌な顔をされることはない
積極的治療をやめる選択は、患者側からは言い出しにくいかもしれない。しかし、今は医療者も患者のさまざまな生き方を尊重するようになっている。地域連携室長の片岡明美医師は、
「治療でがんが治るとわかっている場合は患者さんに説得を続けますが、それでも気持ちが変わらない場合、その選択を理解し、準備を進めます。主治医が嫌な顔をしたり、『ならば、もう病院には来ないでくれ』などと見捨てられるようなことはありません」
と話す。
積極的治療をしない場合、緩和ケアのできる他の病院や在宅クリニックの外来にうつり、通院を続けるのが一般的だ。緩和ケア外来では痛みのほか吐き気やだるさ、息苦しさなどのつらい症状を、主に薬を使ってコントロールする。