【3】治療は受けない 最期は自宅を希望

 病院の検査でがんが判明したが、「一切の治療を拒否する」という患者も中にはいる。新宿ヒロクリニック院長の英裕雄医師は、

「病院嫌いの人など、昔から一定数いらっしゃいました。このような患者さんも、希望があれば自宅で在宅医療を受けることが可能です」と話す。

在宅クリニックの外来で相談にのってもらうといい

 英医師のクリニックは外来診療もおこなっているため、風邪など日常的な病気でかかりつけにしている患者も多い。

「そのような患者さんにあるときがんを疑う症状があらわれ、病院を紹介したらやはりがんだった。しかし、『治療はしないので先生、こちらでお願いします』と戻って来るケースがあります」(英医師)

 また、初診でやってきて「がんの治療は受けないが、何もしないのも不安なので相談に来た」という人もいるという。

「がん治療を一切受けない人が自宅での在宅医療を希望する場合、寝たきりになる前に、相談をするのがいいと思います。最近は当院のように、外来診療をやっている在宅クリニックが増えています。自宅から近いところでこうしたところを探して受診をするといいでしょう」(同)

 在宅クリニックの外来を受診する場合、がんの診断をしてもらった病院からの紹介状(診療情報提供書)があればスムーズだが、英医師のクリニックでは、ない場合でも診療を受け付けている。

「ただし、在宅医療では患者さんの要望に合わせた治療や生活のサポートをおこないます。紹介状がない場合は、病状が進んだ時にどのような医療や対応を望んでいるのか、緊急時に入院を希望するのか、などをできるだけ明確にしてもらえると助かります」(同)

 緊急時に入院したいという希望がある場合は、連携先の病院に紹介する仕組みがあるという。病状の進行具合は問診によって予測できる。これを患者と共有していく。

「例えば1カ月前は毎日、おいしく食事ができたのに、今は食欲がなく食べられない日が増えたという場合は、次の1週間でさらに大きな変化が起こる可能性が高い。『そろそろ在宅での支援態勢や療養態勢を整えたほうがいいかもしれませんね』とお話しします」(同)

 理解を得られたら、在宅医療の準備に入るという。

(取材・文/狩生聖子)

週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2024年版 在宅医療ガイド』

週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2024年版 在宅医療ガイド』より

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