5月31日、立憲民主党の国対ヒアリングで性被害について話す二本樹顕理さん

自殺ではなく「他殺」

──しかし告発したことで誹謗中傷の二次被害を受けるようになり、ご家族にも被害が及んでいると聞きます。

二本樹:私の妻の名前や写真、職場までネット上で公開されました。先日も関西国際空港に家族といた時、「目撃情報」としてXに上げられました。私も妻も、外を出歩くのも不安になっています。日本では安心して生活できないので、妻と一緒に海外で暮らそうと考えています。

──受けてきた二次被害に対して11月3日、大阪府警に被害届を出しました。

二本樹:私だけでなく、ジャニー氏から受けた性加害に対し、声を上げた被害者たちへの誹謗中傷をやめてほしいという思いがあります。他にも、同じような二次被害を受けて苦しんでいる人が多くいます。その結果、自ら命を絶つ人がいます。自ら命を絶った人は、名目上は「自殺」となっていますが、実質は「他殺」だと思います。

──先日、二本樹さんが発起人の一人となり発足した「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属していた元ジャニーズJr.の40代の男性が、10月中旬に亡くなっていたと報じられました。「自殺」とみられています。

二本樹:男性が亡くなられたことは、報道がある前から知っていました。誹謗中傷で苦しんでいると聞いていましたが、亡くなったと知らされた時は、本当に打ちのめされて。深い悲しみしか感じないです。

──誹謗中傷をする人に、何と言いたいですか。

二本樹:なかには、軽い気持ちで誹謗中傷のコメントをする人がいるかもしれません。だけど、それが、どれだけ人を追い込み、命を奪うこともあると自覚してほしい。その上で、こうしたことは控えてほしいというのが、私の願いです。

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2023年11月27日号

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