昔は「生意気な後輩」だった
ただ、じゃあ、それだけの気概を日々どう具現化していけばいいのか。目の前のお仕事でいっぱいいっぱいになってしまう現実もあるし、さらに出力を上げてグイっと切り込んでいくところまでできない自分がいる。良いのか悪いのか、それが今のリアルでもあります。
そんな中、今回新しいエッセー集を出させてもらうことになりました。
月刊「小説新潮」で書いていた連載をまとめて一冊の本にしたんですけど、普段書いているネタやこれまでに書かせてもらった小説は当然フィクションの世界です。対して、エッセーは実際に自分にあったことをもとに思いをつづっている。
そうなると、フィクションのネタの台本や小説と違ってウソもつけないし、これまでの自分を振り返ることにもなりました。
学生時代から芸人になったころのことを中心につづっているんですけど、書くことによって冷静に見てみると、案外普通というか、想定内の考え方をしていたんだなとも思ったんです。
当時は自分の考え方に特別な感覚も持っていたし、他とは違うと思っていました。そういう考えですから、先輩には「なにくそ!」という思いがあったし、生意気な後輩でもあったと思います。
でも、今の自分から見たら「ま、芸人になるような人間はだいたいそんなもんだし、やっていたことはこういう世界では“あるある”の範疇」だなと。