「Aマッソ」の加納愛子(撮影/中西正男)

芸人同士は「バチバチで当然」

「やす・とも」さんと番組で共演させてもらった時におっしゃっていたのが「舞台を3カ月休んだら、感覚を取り戻すのに同じ時間がかかる」という言葉でした。

 ということは、一回休んだら、休んでいる時間プラスそれと同じ時間が回復にかかる。結果、非常に長いストップになってしまう。だったら、途切れることなく舞台に出続けるしかない。

 ただ、言うのは簡単ですけど、それをやる大変さは身に染みて感じています。でも、皆さんはそれをやり続けているから今があるわけで。例えば、上沼さんだったら、その舞台がテレビやラジオという場になるんでしょうし、当たり前のように出続ける。これはすごいことだなと。

 上沼さんなんて私らとはいろいろな次元が違うというか、常に圧勝。なので、もう“勝ち上がる”とか“はい上がる”とかそういうお考えはないんじゃないか。勝手にそう思っていたんですけど、2019年の“闇営業”騒動の時のお話を聞いて心が震えました。

 騒動で宮迫博之さんらの活動が止まった時、テレビ番組で宮迫さんの後輩にあたる芸人さんたちに強い口調でおっしゃってました。

「早く戻ってきてほしいの? 私やったら『ラッキー!』と思うわ。これでひと枠空いたんやから。それくらい、ライバル関係というかバチバチで当然だと私は思うし、今に至るまでそうやって自分はやってきました」

 今もそれだけの気概を持って「勝ちにかかって」らっしゃるんだと。逆にいうと、その思いでやってこられて、実際に枠を取られなかったからこそ、今の上沼さんがある。考えたら分かることではあるんですけど、そこを再認識しています。

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昔は「他とは違う」と思っていた