「目的の微生物を探すのは、宝探しのようなものです」
研究に2年、約800の菌の中から「宝物」を見つけ出した。さらに実用化に向け3年をかけ、フルーツ味をはじめビフィズス菌を様々なヨーグルトに生かす技術となった。
その後もビフィズス菌を製品応用する研究などに携わるが、17年に思ってもいなかったマーケティングへと異動する。機能性表示食品制度が15年から始まり、消費者は健康を求める風潮になっていた。新しい仕事に最初はとまどいもあったが、お客に自社商品の説明をしているうちに、自分の役割がわかってきた。
研究職出身だからこそ、ビフィズス菌の正しい価値をお客に伝えることができる。
そして、多様な嗜好に合わせた、消費者から求められている商品を研究部門に伝えて、新商品の開発に役立てる。
森永乳業では、ヨーグルトの他にも「大人のための粉ミルク」や、乳製品が苦手な人でもビフィズス菌を摂取できるサプリなど、数多くの人気商品がある。
ビフィズス菌は、年をとると腸内から少なくなるという。
「何歳になっても元気な腸内フローラを保ってほしくて、これからも活動を続けていきます」
(ライター・米澤伸子)
※AERA 2023年11月20日号