※写真はイメージです。本文とは関係ありません(iStock / Getty Images Plus)
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

【鴻上さんの答え】
 ミレイさん。苦しんでますね。ミレイさんは「我儘で、狡くて、他人に優しくする余裕も持てない自分に嫌気がさしています」と書かれていますが、ミレイさんの会社の現状を読むと、そうなるのは当然のような気がします。

「理屈っぽく考えて、相手に怒りを持ってしまう」とも書かれていますが、「理屈っぽく」ではなく、きわめてまっとうな理屈だと思いますよ。

「会社でのトラブルを知った上で対処しないのは、トップとしての管理責任放棄」なのは間違いないですね。なのに、何もしないから、日本の多くの会社は、ゆっくりと滅びへの道を歩いているんだと僕は思っています。

 何度もこの相談で書いている「日本の世間」の「所与性」というものです。「今までと同じことを続ければいいと思っている」「変化することを極端に嫌う」という特性です。

 中年以上の人の中には、「そうやって今までやってこれたんだ。これからもとにかく続ける」というマインドの人が一定以上いると思っています。

 でも、若ければ若いほど、「それっておかしくないですか」という気持ちが強くなるんだと思います。それは、当然のことです。だって、「今までと同じことをやって、うまくいってきた」という成功体験がないんですから、「所与性」を信じられないのは当然です。

 だからこそ、いろんな不合理や謎ルールに敏感になるし、納得できなくなるのです。

 ミレイさんは、そういう気持ちがとても強い人ですね。中学時代のエピソードなどから、そう感じます。

 さて、僕が思いつく対処方法は3つです。

 ひとつは、ロボットになることですね。心を閉じて、ただ、言われたことをやる。休みと給料のことだけを考えて、体を動かす。でも、それは楽しくないし、仕事のやりがいもないです。

 だいいち、ミレイさんのような人には難しいと思います。

 ミレイさんは、とても真面目な人だと思います。だからこそ、中学の部活の理不尽も職場の「謎ルール」も納得できないのです。

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