鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
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 会社の不合理なルールに悩む24歳新社会人。ストレス軽減の方法を知りたいと問う相談者に、鴻上尚史が「今までと同じことを続ければいいと思っている」「変化することを極端に嫌う」という「日本の世間」の「所与性」をひもときながら提案する3パターンの対処法とは。

【相談202】新社会人です。合理性なき暗黙のルールをのみ込み、ストレスを軽減する方法を知りたいです(24歳 女性 ミレイ)

 今年4月からの新社会人(経理)です。入りたい会社に入れたはいいものの、実際、働き始めたら……。

・新卒で、資格なしと分かって採用しているのに、初めてやる業務について一切説明しないといったことがザラにある上司(悪気はない)
・上記について相談しても、「◯◯さん、そんなにちゃんとしようとしなくていいよ。おおらかに」とか言って、対処をしないトップ(天下り)
・言葉の節々に、事務は下で、外回りなどをする人たちが上という価値観が滲み出ている天下り
・お前なんか必要ないということなのか、入社前に一切、その可能性について説明を受けていない出向や人事異動をチラつかせるなど、個人のスキルアップやこの会社で働くためにかかった引越し費用などのコスト等について、一切考慮しない天下り
・電話や窓口などの雑務を新人に押し付ける上司(1個目と同じ人)

 他人に対する憎しみや苛立ちが日に日に強くなっています。でも……給料が確実に上がり、休みが信じられないくらいに取りやすく、大好きな新居から近いから、辞めたくはない。

 そんな我儘で、狡くて、他人に優しくする余裕も持てない自分に嫌気がさしています。私、こんな嫌な奴じゃなかったはずなのに……。

 私は、いつ別れが訪れるか分からない両親とは、若いうちに沢山会って話したいし、大好きな推しのライブも、推しが解散する前にたくさん行きたい……。

 だから、私の中での最優先事項は、それなりの給与と休みたい時に休めることです。

 ……それを優先すると決めたなら、上に書いたような嫌なことは割り切らないとならないのですが、私はその「割り切る」ができない人間なのです。昔からそうです。

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