同時に、とても聡明な人だと思います。自分の人生の優先順位をはっきりと把握している文章からそれを感じます。

「何も考えずに、ただただ、新人らしく働ければいいのに」と書かれていますが、真面目で聡明な人には、それは無理だと思います。

 また、会社のレベルも問題です。

「合理性なき暗黙のルールを、上手にのみ込み、ストレスを軽減する方法を知りたい」ということですが、「合理性なき暗黙のルール」にも、程度があります。のみ込めるレベルとのみ込めないレベルがあるのです。

「どんな会社でもあることで、みんな、それをのみ込んで働き、どっかで折り合いをつけるんだと思います」と書かれていますが、それは程度問題です。どんな会社にも大なり小なり「不合理なこと」はあるでしょうが、そのレベルが問題なのです。

 ミレイさんの文章を読む限り、ミレイさんの会社は、かなり不合理に満ちていて、通常ではのみ込めそうにないレベルだと感じます。

 真面目で聡明な人が、かなりの量の「合理性なき暗黙のルール」をのみ込むのは、とても難しいんじゃないかと思うのです。

 対処方法のふたつ目は、我慢できなければやめる、という大胆というか、はっきりした方法です。

 好待遇で文句のない職場でも、その喜びと、日々の苦労を天秤にかけて、苦労の方が多ければ、離れるしかない、ということです。ミレイさんはまだ若いのですから、考えてみる価値はあると思います。

 三つ目は、とりあえず、いろいろとあがいてみる方法です。

「上手に折り合いをつけて、のみ込んで、新人の役割をまっとうして」いる彼とは話しましたか?

 彼はミレイさんからみたら、完璧な新人かもしれませんが、ひょっとしたら激しい葛藤を抱えているかもしれません。彼が会社をどう考えているか、もし本当にうまくスルーしているのなら、そのコツを聞いてみませんか。もし、彼も限界に近いのなら、二人で嘆いた後、なんとかする方法を探ってみませんか。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年この本が読みたい!「本屋大賞」「芥川賞」「直木賞」
次のページ