がんと告知され、「頭が真っ白になって先生の話が入ってこない」「どうすればいいかわからない」と、混乱し不安を抱く人は多いでしょう。できるだけ冷静に、これから始まるがんの治療について考えるためには、自分がどのようながんで、どのぐらい進行しているか、どんな治療の選択肢があるかを正しく知ることが大切です。そのために、まず必要なのが、医師の話をしっかり理解すること。本企画では、がんと診断された人が知っておくと役に立つキーワードについて、医師に解説してもらいました。全4回の2回目です。
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今回解説するキーワードは、「予後」「5年生存率」「リンパ節郭清(かくせい)」です。
キーワード【予後】
病気や治療のその後の経過についての見通し。「生命予後」というと「生存率」と同じ意味でとらえることもできるが、「予後」のみの場合は、がんの増悪や患者の体調・状態、QOL(生活の質)など、状況により意味が異なる。
がんと診断されたときなどに、「このがんは予後が良いタイプです」「あまり予後が良くありません」などと言われることもあるかもしれません。この言葉は、病気の今後の経過を見通して使われる言葉ですが、「はっきりとした基準はない」と若尾医師はいいます。5年生存率などから判断されることもあり、がんの種類や病期、薬の効き具合や手術の成果など、さまざまな要因によって変わってきます。
「余命」は「あとどのぐらい生きることができるか」という意味で使われますが、「予後」は命だけでなくからだの状態や生活の程度など、例えば「健康な人と同じぐらい元気になれるのか」「いつまで家でふつうの生活が送れるか」など、その先の生活の長さや質についての見通しも含む言葉と考えられます。
医師から「予後」と言われ、どういうことかわからない場合は、「再発するリスクが高いということですか? どのぐらいの割合ですか?」「どのぐらいふつうに生活できますか?」など、具体的にどのようなことなのか、医師に尋ねてもいいでしょう。ただし、あくまでも目安であり個人差があること、先のことは誰にもわからないことを理解しておくことが大切です。