外見を気にするようになった娘さんが思わず、「もっとかわいく生んでほしかった」「お父さんに/お母さんに似なければよかった」などとつぶやいてしまうのも、よくあること。
親としては、そんなことを言われてもどう返事をすればいいか、言葉に詰まってしまいます。親からすれば、娘にそんなことを言われたら悲しいでしょうし、ドキッとして、申し訳ない、ごめんねと思う親御さんもいるかもしれません。
ですが、小さいときから「あなたはそのままでかわいいよ」「お母さんにとってはあなたが一番だよ」と伝え続けてきたのであれば、娘さんは親の思いをきっと十分に受け取っていることでしょう。
自分の顔とどう付き合っていくかについては、娘さんが自分で考えて決めていくしかない。娘さんの一時的なうらみごとを、親が真に受ける必要はないんです。親と子が別の人格であるとは、そういうことなのです。
本人がどうしても嫌なら、整形したっていいと思うんですよね。ただ、最終的なその決断に至る前に、一重まぶたが嫌ならアイプチをしてみるとか、鼻を高く見せるようなメイクを工夫してみるとか、試せることはいくつかあります。お母さんが、人生の先輩として娘さんに伝えられるのは、そういった工夫やアドバイスなのかなと思います。
子どもたちは家庭の中だけでなく、学校をはじめとする社会に属していますから、100パーセント本人の望みをかなえられるとは限りません。校則で禁止されていることもあるでしょうし、医療行為にはリスクもともないます。そんなときに、「じゃあどうする?」と相談できる相手が親だとしたら、子どもにとってこんなに心強いことはないと思います。
思春期には、誰かのひと言で深く傷つくことがある一方、誰かのひと言で自分を好きになる瞬間も訪れます。そうやって成長していく過程を、一番の応援団として適切な距離感で見守っていく。そんなふうに考えてはどうでしょうか。
(構成/長瀬千雅)