で、そのあとは血判タイム。「ここであったことは決して口外するな」……ホントだよ! 俺だって言って欲しくないよ。「一之輔さんが『満塁ホームラン2本』って言ってたよ」なんて! そんな光景が夜のニュースで流れたら消えてしまいたくなるよ。だからみんなで内緒ってことにするのだな。ここだけの秘密だよ、ということに。

 でも血判なんて酒が入ってる状態でやったらえらいことになるから、飲酒前にして欲しい。できれば開場時に受付で。それから思う存分飲んだり、食べたり、笑ったり、怒ったり、なぞかけしたり、ひとしきり車座になって語り合って、フルーツバスケットして、みんなが仲良くなって、「またな!」「元気でな!」なんて肩を叩き合って、LINEの交換をしたりして、いつまでも名残惜しんで門のところでかたまってると、「もう暗くなってきたから早く帰りなさーい!」なんて用務員のおじさんに怒られて、帰りに鯛の形をかたどった砂糖とかカマボコをぶら下げて赤坂見附から丸ノ内線に乗ってる正装の紳士淑女がいたら、園遊会の帰りだと思っていただきたい。あー楽しかった、園遊会。また行きたいです。

 もし招かれたとしてもその時のことは絶対口外できないはずなので、この駄文をもってその遠い未来の感想に代えさせていただきます。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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