「オリックス時代は怖かったですよ。選手に直接怒ることはほとんどなかったけど、コーチには厳しい姿勢だった。当時のオリックスは弱かったのでちょっとピリピリした雰囲気でしたね。でも、阪神の選手たちに聞くと僕が知っている岡田さんと違うんですよ。選手とそんなに頻繁に話すわけではないけど、球場内の食堂をウロウロして話しかけられたそうな雰囲気を出したり(笑)、試合中に気づいた点を選手にアドバイスしている。もう孫みたいな年だからかわいいんじゃないですか。ムードメーカーのミエセスをいじったりね。森下(翔太)に厳しいのも愛情の裏返しだと思います」
一方、オリックスの中嶋聡監督もリーグ3連覇を飾り、名将としての地位を固めつつある。その采配はスタメンを固定する岡田監督と対照的だ。選手の状態を見極めて起用する「日替わり打線」で戦い、白星を積み重ねていく。打線の軸として活躍していた吉田正尚がレッドソックスに移籍したことで得点力の低下が危ぶまれたが508得点を叩き出し、昨年の490得点を上回った。日本シリーズでも「中嶋マジック」が冴えわたった。第1戦でわずか2安打に抑え込まれて零封負けを喫すると、第2戦でオーダーを大胆に入れ替え、12安打8得点を奪って圧勝した。
中嶋監督の下で素質を開花させた選手は多い。ファームでくすぶっていた杉本裕太郎は21年に本塁打王を獲得するなど打線の核に。宗佑磨は三塁に固定されて21、22年とゴールデングラブ賞を受賞するなど攻守の中心選手に成長した。今季自己最多の11勝をマークした山崎福也もフォーム改造の際につきっきりで寄り添った。