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 世の中の発展や目新しいものには、“数式”が関わっていることがとても多い。AI、アート、太陽光発電、お金の運用、宇宙など分野はさまざまだ。「数式は創造性の源泉で、そこから何かを生み出せるのは数式読解力を持った人間だ」と冨島佑允氏は言う。同氏の新著『東大・京大生が基礎として学ぶ 世界を変えたすごい数式』(朝日新聞出版)には、“数式”から物事が創造される「創造のサイクル」の一例について書かれている。一部を抜粋、再編集し、紹介する。

【図】数式の創造サイクルを見る

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 数式読解力が育ててくれる思考は、余分なものを切り捨てて本質を浮かび上がらせる「シンプル・イズ・ベスト」が特長です。世の中のさまざまな課題を数式というレンズを通して見ることで、その本質が浮かび上がって解決策に思い至ったり意外な応用法に気付いたりします。そのようにして人類の文明は進歩してきました。

 そして、まさに今このときも、世の中は数式をエンジンとして進歩を続けています。数式は「本質を見るための虫眼鏡」なのです。

 この本で紹介していく数式たちは、どれも今まさに世の中を変えていっているものばかりです。分野も数式もさまざまですが、世の中を変えるプロセスは、どれも「数式の創造サイクル」にあてはまります。

数式の創造サイクル(図版制作・朝日新聞メディアプロダクション)

 世の中には難しい課題や複雑な物事があふれています。そして、その課題を解決しようと努力する人や、複雑な物事を理解しようと学んでいる人がいます。そういった人たちは、「本質を見る虫眼鏡」である数式を駆使して核心に迫ろうとしています。そして、見つけ出した法則性を新たな数式として表し、論文や本などにして世の中に伝えます。

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冨島佑允

冨島佑允

●冨島佑允(とみしま・ゆうすけ) 1982年福岡県生まれ。京都大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了(素粒子物理学専攻)。MBA in Finance(一橋大学大学院)、CFA協会認定証券アナリスト。大学院時代は欧州原子核研究機構(CERN)で研究員として世界最大の素粒子実験プロジェクトに参加。修了後はメガバンクでクオンツ(金融に関する数理分析の専門職)として各種デリバティブや日本国債・日本株の運用を担当、ニューヨークのヘッジファンドを経て、2016年より保険会社の運用部門に勤務。2023年より多摩大学大学院客員教授。著書に『日常にひそむ うつくしい数学』(小社)、『数学独習法』(講談社現代新書)、『物理学の野望――「万物の理論」を探し求めて』(光文社新書)などがある。

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