相談者の中には、実際に売春や不法就労が目的だった人もいる。性風俗や水商売の仕事を主にしている人もいれば、昼は事務職でたまに性風俗や水商売の仕事をしている人、小遣い稼ぎにパパ活をしている人など、日本での働き方はさまざまだという。
アメリカでは一部の地域を除き、ほぼ全土で売春は違法行為とされ、売春に関わった人は犯罪者として扱われる。入国時や入国後に売春に関わったと認定されたら、自動的に10年間は入国することができない。
そのため、売春目的で渡航する女性たちは、慣れている人ほど、入国対策として、あらかじめスマホ内のデータを消したり、持ち物を精査したりするなどの準備をするという。だが、海外に出稼ぎに行く動きが広がり、出稼ぎ初心者の渡航も増え、“対策”をせずに入国しようとして、ストップをかけられる例も一定数あるようだ。
下着からポーチまで調べられる
入国審査官に売春を疑われると、空港の別室に連れて行かれ、警察官などから長時間にわたって取り調べを受けることになる。
「なぜ1人なのか」「職業は」「宿泊先は」「入国の本当の目的は」「入国後、誰かと仕事の約束をしているのではないか」――。
こうした質問に始まり、荷物は下着からポーチの中身に至るまですべて調べられる。服が多いと「なぜ荷物にこれほど洋服がたくさんあるのか」、派手な下着が入っていると「なぜ下着が派手なのか。仕事で使うのではないか」といった流れになる。若い女性で高価なブランド品を身につけていたり、派手な格好をしていたりすると、ストップをかけられる傾向があるという。スマホもロックの解除が求められ、メールのやり取りや各種SNS、検索履歴、登録している連絡先など、徹底的に調べられる。やり取りの中で人名が出てきたら、その人に電話をかけ、本人の証言と電話をかけた相手との証言の合致を見て、真偽を確かめるなどする。