いつも人生の節目にスケートボードがあった。イベントのバーテンダーやコンペティションの審査員として海外を飛び回る多忙ないまも、束の間の息抜きに乗る(撮影/今村拓馬)

「いわゆるラテン系というか、我々がイメージするブラジル人とは明らかに違う、ちょっと内向的な印象でした。でも人当たりがよく、話もおもしろいから、みんなに『ロジェ君、ロジェ君』と興味を持たれて、誘われていた。この人が店に立っていたら絶対カッコイイな、この仕事に向いているだろうなと、一緒に働かないかと誘ったんです」

バーテンより写真が好き デンマークのバーで感動

 しかし当人はバーテンダーに興味はなく「またしばらく工場で働こうかな」という。こんなにセンスとタレント性があるのにもったいない、と伊藤は口説き続けた。当時、ロジェリオが夢中になっていたのは写真だった。アルバイト先のカフェから広がった人脈で、大学進学よりもカルチャーへの興味が増していた。恵比寿の「東京都写真美術館」で写真の実技コースを受講し、写真家のアシスタントやモデルも務めていた。そんななか伊藤の説得で「Bar Tram」のバーテンダーとして店に立つようになる。

(文中敬称略)(文・中村千晶)

※記事の続きはAERA 2023年11月6日号でご覧いただけます

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