洗濯機は30ℓ→5ℓに“無意識節水”

 収入減については、水需要そのものが減っていることが原因だ。人口減少に加え、家庭での節水が進んだ結果、国内の水道使用量は、2000年の1日あたり3,900万㎥をピークに、2065年には4割減の2,200万㎥になると予測されている。

 この「家庭での節水」について、橋本氏は、「蛇口をこまめに閉めるなどの努力をしなくても、家電を買い替えた瞬間に節水ができる“無意識節水”の影響が大きい」と指摘する。

 たとえば水洗トイレは、1995年は1回流すのに10ℓ(大の場合)の水が必要だったが、現在は5ℓでOK。洗濯機はさらに顕著で、30ℓ(衣類1kgの場合)→5ℓへの節水が実現した。また、家族5人分の食器を手で洗うと70ℓ必要だが、食器洗い機を使えば10ℓで済み、テークアウトや外食頼みの生活習慣を送れば、もはやゼロだ。

 節水したのに、それがあだとなって水道代値上げにつながる……。こんな皮肉な状況が生まれた背景について、橋本氏はこう説明する。

「全国的に水道計画が作られたのは、1960年代ごろ。高度経済成長期の中、人口は急増し、これから水もたくさん使うという時代でした。そこで、次々に水道設備を増やしてきたものの、人口減少など社会の変化によって計画当時の需要予測を大きく下回り、収支のバランスが崩れてしまいました」

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