あらゆる物の値段が上がる今、「水」も例外ではない。全国で水道代値上げのニュースが相次ぐ背景には、水道管の老朽化や人口減少があるとされるが、各家庭で「節水」が進んだことにより、水の使用量が減ったことも関係しているというから驚くばかりだ。庶民は家計と環境に優しい努力をしているのに、逆に水道代は高くなる……。このジレンマを一体どうすればいいのか。地方の市民団体の取り組みなどからヒントを探した。
【画像】水道料金の将来の予想値上がり率が大きい市区町村100
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直近の3年で、実に150の自治体が水道料金の引き上げに踏み切った。横浜市の値上げ率は平均12%(2021年7月~)、埼玉県川口市は25%(21年1月~)。福岡県飯塚市にいたっては35%(22年1月~)と、庶民には大きな負担となっている。
全国的な値上げラッシュの背景には、何があるのか。アクアスフィア・水教育研究所の橋本淳司代表によると、日本の水道事業は、施設を維持するためのコストが上がっているのに、料金収入が先細りしていく“ダブルパンチ”に見舞われているという。
コスト増の主な原因は、老朽化した水道管の補修だ。法定耐用年数の40年を超えた水道管の割合は、2018年度末時点で17.6%。毎年約5,000㎞が補修されているが、老朽化のスピードに追いついておらず、年間2万件を超える漏水・破損事故が起きている。