(写真はイメージ/GettyImages)

 電車で座席に座れると、立っているよりラクで疲れがとれるように感じる。しかし、多くの現役アスリートも通うトレーニングジム「IPF」代表のカリスマ最強トレーナー・清水忍さんは、「疲れる座り方をしていると、ラクなようでいて実は疲れが蓄積していってしまう」という。清水さんが監修した『運動習慣ゼロの人のための疲れない動けるからだをつくるテク』(朝日新聞出版)から、電車内での疲れるNGな座り方と、疲れないOKな座り方を紹介する。

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背もたれに寄りかかって座るのはNG

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 電車で座れたからといって、だらんと背もたれに寄りかかるのはやめましょう。背中の一部を背もたれに預けて背の姿勢になると、疲れが取れるどころか、筋肉に余計な負担をかけます。

 骨盤が寝た状態になり、腰から肩甲骨、肩までが丸まってしまうこの座り方では、姿勢を保つ体幹の筋肉が弱くなり、お腹がぽっこり出やすくなるほか、首の痛みや頭痛を引き起こすことにもなります。

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 つまり、背もたれに寄りかかることで、体の中では、

ということが起こり、腰の脊柱起立筋の負担になって肩関節をケガしてしまう可能性もあるのです。

 骨盤を立てることを意識しないと、このような座り方になりがち。背中を丸めると、背骨が湾曲して腰の脊柱起立筋に負担がかかります。猫背は、肩が前に出る巻き肩を誘発し、肩関節のケガにつながるおそれも。ラクなようでいて、実は疲れが蓄積していってしまうのです。

ひじかけに寄りかかって座るののもNG

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 新幹線にあるような座席で脚を組む場合、ひじかけにもたれかかってしまう人も多いでしょう。体重をひじかけに預けられるからラクだと思いがちですが、反対に疲れやすいカラダをつくってしまいます。

 ねじれた姿勢が続くと、使われる筋肉が左右でアンバランスになり、引きつった状態に。これが蓄積すると、筋肉のこり、スタイルの悪化、内臓機能の低下などにもつながってしまいます。

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

つまり、ひじかけにもたれかかることで、

ということが起こってしまいます。

 骨盤のゆがみ、筋肉のアンバランスな引きつりによって姿勢のねじれが悪化します。この座り方をしたくなる人は、左右どちらかに重心が偏っているはず。続けていると骨盤がゆがみ、脚を上にしたほうの腹斜筋や胸鎖乳突筋などさまざまな場所が引きつって、こりが発生したり、姿勢のねじれがひどくなったりします。

OKな座り方のポイントは骨盤が立っていること

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 左右の坐骨に均等に体重をかけ、骨盤を立たせて座ります。背すじを伸ばし、その上に頭がのるように。背中の脊柱起立筋、お腹の腹横筋、骨盤の底の骨盤底筋が適切に使われ、姿勢が保たれます。

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 座面に対して仙骨が垂直、つまり骨盤が立っていて前後左右どこにも傾いていないことが、座るときの姿勢では大切です。わかりやすい目安は、坐骨を座面につけてカラダの荷重を均等にすること。

 これで正しい姿勢になっているはずです。坐骨に体重がのるように意識すると背すじが伸び、頭の重さが正しく背骨にかかることから、肩や首、背中への負担も軽くすることができます。

(構成 生活・文化編集部 森 香織)