パンダ誘致の支援を凍結すべき旨の要望書を市長宛てに提出された。(写真はイメージです/ gettyimages)

 仙台市役所の担当者によれば、東日本大震災の復興の一環として中国からパンダ誘致の計画がスタートした。経済効果による地域活性化が計画を進めている大きな理由の一つにある。

 当時の中国も実現に積極的な姿勢を示しており、11年の12月に開かれた日中首脳会議では、中国から仙台市にジャイアントパンダが貸し出されることに対して、事実上の合意があった。旧ジャニーズ事務所が設立した「マーチングJ財団」は12年6月に、中国に支払うパンダのレンタル料や、整備費など支援を約束する文章を市に提出している。その額は億単位にのぼるといわれていたという。財団は21年4月に解散したが、それ以降は事務所が支援する方針を明らかにしていた。

2012年にジャイアントパンダ誘致計画の資金の支援をすることを表明

 ところが、その後、日中関係の悪化により、誘致計画は一部中断となった。ただ、設備などの計画は進んでおり、ジャイアントパンダの展示スペースが設けられる八木山動物公園フジサキの杜では22年2月から15年以上かけての大規模工事を進めている。総事業費は約96億円も投入される。

 事態は2023年に入り、急変した。故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が明らかになり、”ジャニーズ”の名前をすべてなくす事態にまで発展した。所属タレントの広告起用を中止する企業も続出している。

 前出の伊藤氏が続ける。

「支援をいただけることは非常に嬉しいことです。ただ、市としてハラスメントや性犯罪は絶対に許さないという態度でなければならない。ジャニーズの1回目の会見を受けてから、9月8日に事務所によるパンダ誘致の支援を凍結すべき旨の要望書を市長宛てに提出しました」

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