福島県産の魚介類についての説明だが、会見場は万博キャラクターの「ミャクミャク」だらけ

 2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博について、吉村洋文・大阪府知事がこれまで打ち出してきた内容がことごとく悪い方に変わっている。準備遅れの上に会場建設費がかさみ、予算も当初の1250億円から約1850億円、さらには2350億円規模へと膨らむ見込みだ。パビリオンの建設も遅れが目立ち、阪神オリックスの優勝に“便乗”したものの、これも不評。直近では、目玉の一つだった「空飛ぶクルマ」も見込み違いとなりそうだ。

①予算は膨張に膨張

「2350億円だなんて、とんでもない。財界にそんなカネはない。会社の財布にお金が無限に入っているわけじゃない。これとは別に700万枚の入場券も割り当てられている。これまで言っていることとあまりに違う」

 そう話すのは、関西地方の上場企業の経営者だ。

 会場建設費は、国と大阪府、大阪市と経済界で3等分することになっているが、経済界といっても地元経済界なだけに、他と比べると負担感は大きい。

 吉村知事は1250億円から1850億円に増えた際、

「予算の範囲でおさめたい」

 と明確に述べていた。

 8月31日、万博の準備遅れに業を煮やした岸田文雄首相は、吉村知事や大阪市の横山英幸市長を首相官邸に呼びつけて緊急会合を開いた。

「万博の準備は、まさに胸突き八丁の状況」

 と強調し、国が先頭に立っていくと改めて主張した。その場面はマスコミに公開して語った。

 官邸関係者がこう話す。

「たしか、その日だったと思います。官邸から日本国際博覧会協会に『1850億円で大丈夫なのか、精査すべきではないか』と話がいって、そこで2300億円という数字になり、それが2350億円とさらに積み上がってきました。50億円というと大きな金額ですが、それに驚かなくなった」

 国や大阪府、大阪市の支出も増えることになるということは、投入される「税金」がさらに増えるのだ。

 9月25日、吉村知事と報道陣の囲みによる会見で、こんなやりとりがあった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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