オンラインのインタビューに応じる、国立ヘブライ大学教授のニシム・オトマズキン氏=10月11日(写真:編集部・深澤友紀)

「その通りです。そうなれば、普通の生活が続けられなくなるでしょう。しかし、私たちはどこにも行きません。『We have no place else to go.(私たちには他に行く所がない)』。これは1973年、バイデン大統領が上院議員の時代に初めてイスラエルを訪問した際に、当時のメイア首相がイスラエルの最も強力な“武器”について語った言葉です。つまり、私たちは戦うしかないのです」

 ただ、軍事衝突の長期化は避けなければいけない。ガザ地区はイスラエルによって「完全封鎖」に追い込まれ、人道上の危機も高まる。和平につなげるには、国際社会の協力が必要だ。

「それは大切なポイントです。世界の戦争や紛争の歴史を見ると、外からの仲介がないと戦争や紛争は解決しません」

 岸田文雄首相はイスラエルとハマスの衝突に関連し、双方に自制を求める「バランス外交」に重点を置いている。

「日本はこれまでパレスチナに多くのサポートをしています。これはとてもいいこと。しかし、こういう事態で『バランス』を考えるのはおかしいと思います。悪い時は悪いとハマスを非難してほしいと思います」

 今、願うことは何か。

「まずは、人質として連れ去られた人たちが解放されること。これがなされなければ、何も解決しません。そして戦争を終え、破壊されたコミュニティーが元に戻り、安全な生活を送れるようになることです。その時は、日本の支援も期待します」

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2023年10月23日号

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