手術で脳に小さな電極を埋め込み、電気刺激を脳の特定の部位に加えて症状を安定させる治療法がDBSです。LCIGは、内視鏡手術でつくった「胃ろう(腹部に小さな穴を開け、胃から小腸にチューブを通す)」から薬を直接小腸に持続的に入れる治療法で、オフ時間の短縮が期待されます。胃ろうの手術が不要で、持続的に皮膚の下に薬を入れることができるCSCIは、2023年5月に承認されたばかりの新しい治療です。

 パーキンソン病には運動症状のほか、多彩な「非運動症状」があります。例えば、便秘・頻尿、不安やうつ症状、睡眠障害、立ちくらみ(起立性低血圧)、幻視やもの忘れなどです。それぞれ効果が期待できる薬があるため、運動症状以外にも、気になる症状がある場合は、担当医に伝え相談しましょう。

好きな運動を継続して、運動症状の進行を抑える

 薬物療法と並んで重要とされるのが、運動です。パーキンソン病の患者会との交流に力を入れている順天堂大学順天堂医院脳神経内科准教授の大山彦光医師は、次のように言います。

「パーキンソン病の薬は症状を抑えるもので、進行を遅らせることはできません。唯一、運動症状の進行を遅らせる効果があるとされるのが運動です。太極拳、音楽療法、ダンス、ビデオゲームによるエクササイズなどさまざまな運動で研究がおこなわれ、いずれも有効性が報告されています」

 大江田医師も運動の効果について、「リハビリテーションを積極的におこなった後には症状が軽くなるという研究がたくさん出ています。早期からできるだけ運動をしておくと、病気の進行を多少なりとも抑えられる可能性があります」と言います。

「パーキンソン病では関節がかたくなり姿勢も前かがみになりがちです。まず、早期からストレッチ体操を習慣づけるよう勧めています。どんな運動がいいかとよく聞かれますが、散歩でもダンスでも、自分が好きな運動を長く続けてほしいと答えています」(大江田医師)

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