このほか、ドパミンを分解する酵素の働きを妨げる「MAO-B阻害薬」、L-ドパ製剤が分解されるのを妨げる「COMT阻害薬」、脳内の神経伝達物質のアセチルコリンの働きを抑える「抗コリン薬」、もともと抗てんかん薬でパーキンソン病にも有効であることがわかり使われるようになった「ゾニサミド」など、さまざまな種類の薬があります。

 処方される薬の種類や服用量、服用回数などは、一人ひとりで異なり、症状や発症年齢、現在の年齢、生活状況などに合わせてテーラーメイド治療がおこなわれます。そのため、別の人に効果があるからといって、それが自分にも適しているとは限りません。

 自分に合った治療を受けるためのポイントは、症状をきちんと主治医に伝えること。インターネット上には、自宅での症状の変化や困っていることなどを記録する「症状日誌」が掲載されているのでそれを活用したり、自分でメモにまとめたりして担当医に見せるとよいでしょう。

「L-ドパ製剤」の1日の服用回数は、はじめは2~3回ですが、運動合併症で薬効時間が短くなると回数を増やす必要があります。薬効の落ちる「オフ状態」には、もともとの動作緩慢、筋強剛、歩行障害といった症状が強く出て、日常生活に困るからです。薬効を延ばすような薬を併用し、さらにL-ドパ製剤の服用回数を増やしたりタイミングを工夫したりして、できるだけ「オン状態」が保たれるように調整します。

「頻回の服用は負担になりますが、きちんと服用しないと薬の効果を得られません。周囲の人に一緒に確認してもらう、おくすりカレンダーなどを利用するなどの工夫が必要です」(大江田医師)

 病気の進行とともにL-ドパ製剤の服用回数が増えますが、1日5回以上になってもオフ状態のコントロールが難しくなった場合には、機械を使う「デバイス補助治療」の選択肢があります。現在、「脳深部刺激療法(DBS)」「レボトパ・カルビドパ持続経腸投与療法(LCIG)」「ホスレボドパ/ホスカルビドパ持続皮下注療法(CSCI)」があります。

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手術で脳に小さな電極を埋め込む治療法も