鴻上さんの相談相手
鈴木:叩かれなくなったら終わるので、先細りしそうで不安ですね(笑)。鴻上さんって、悩みがあったら誰かに相談したりするんですか?
鴻上:うん、だいたい仕事のことだけど。
鈴木:誰にですか?
鴻上:よくできたもので、その時その時にあった相談相手が現れるんですよね。最初に芝居を始めたころは、大学のサークルの先輩、やがて僕の方が忙しくなると、次はラジオ局のディレクター、さらにキャリアが上がってビジネス規模が大きくなると、映画のプロデューサーっていう感じで。
鈴木:でもポジションが上になると、相談できる人も少なくなりますよね?
鴻上:だから、水商売のお客さんには、あんなに寂しげな偉い人が多いんでしょう(笑)。若い女の子たちに愚痴を聞いてもらえることが、精神安定剤になるっていう。俳優にアドバイスするんですが、人に受け止めてもらう以外にも、楽器を弾く、絵を描く、ゲームに夢中になる、なんでも構わないから、自分自身でストレスや悲しみを処理できる方法を見つけておいたほうがいいですね。
鈴木:なるほど、私も探してみます。
鴻上:どうしても人間相手じゃないとダメなら、相談できる人を最低3人は作ったほうがいい。2人だと、交代で相手をするのはヘビーになることがあるから。
鈴木:私の友人の男の子で、失恋すると、私含めた女友達5人に一斉にラインを送ってくる人がいます。「今日バイト入れる人いますか?」って。要するに、「誰か今日相談に乗ってくれませんか?」っていう意味なんですけど、彼は人でしか解消できないんでしょうね。その代わり、相談場所として専用のプールを持っていて、私たちのライングループの名前は、俺の面倒を見てくれる人っていう意味で勝手に「ナニーズ」ってつけていて……。
鴻上:そういうことやってるからフラれていくんだよっていうね(笑)。
鈴木:私もそう思います。