件の質問に対して瞬発的に答えを口にできなかった私は、放送で「ゲストのNG要項があまりにも多かったりすると、『そもそも私、あなたに興味ないし……』という気持ちを顔に出してしまいそうになる癖がある……」といった話を、これまたダラダラとしてしまいました。特に誰かの顔が思い浮かぶようなものでもなく、かと言ってまったく新しい視点の話でもない。実にぬるい、オチもない普通の話を。
それを観ていた視聴者が、「ミッツの苦手なゲストって、たぶん酒井法子だろうな」とSNSで推察しているのを目にしました。
確かに、酒井法子さんはこれまで番組に複数回出演しています。地上波キー局と呼ばれる番組には、なかなか出にくい状況の中、彼女をゲストにお迎えできたのは、番組並びにローカル局の様々な特性や環境故のことだと言えるでしょう。
事実、酒井さん側のNG要項は少なくはありませんでした。いつもは腑抜けたスタッフやレギュラー出演者たちにも、妙な緊張感が迸っていたのを憶えています。
のりPほどの、しかも久方ぶりの生放送に出てきたゲストに対して、のっけからエンジン全開で「今日は素面ですか?」などと「ぶっこむ」トークスタイルは、誰の得にもなりません。「NG」があるとは言え、ゲスト側も並々ならぬ覚悟で臨んでいるわけですから、それこそハンドルの切り方、アクセル・ブレーキを踏むタイミング次第では何かが起こる可能性は充分にあります。でなければ、ただの野暮ったい下衆で稚拙で、観ている方もストレスの溜まる番組になるだけです。
無論、私は薬物事件以外の「のりP(歌や歴史)」にも相当な思い入れがあったので、程よくマニアックな話題を塗しながら、とにかく「何も核心には触れずに、淡々と通常運転をする酒井法子の姿」がテレビ画面に映っていることこそが、世間にとって衝撃であり、視聴者が知りたい「何か」がは、彼女の言葉や表情の裏や行間に潜んでいるはずだと考えていました。