投げても投げても打線の援護が得られず、「12球団で最も不運な投手」と言われたのが、ルーキー時代の西武・隅田知一郎だ。

 4球団競合のドラフト1位で入団した期待の即戦力左腕は、デビュー戦となった2022年3月26日のオリックス戦で7回を1安打無失点、二塁も踏ませぬ快投で、うれしいプロ初勝利を挙げた。

 だが、4月2日のロッテ戦で5回を自責点2に抑えながら敗戦投手になると、その後は好投しても報われず、9月14日のソフトバンク戦まで新人のパ・リーグワースト記録の10連敗でシーズンを終えた。

 1勝10敗ながら、防御率は3.75とまずまずだったが、12球団ワーストのチーム打率.229の影響をモロに受け、登板16試合で援護点はわずか18。2点を失ったら勝てない計算になる。打線の援護があれば、当然勝ち星ももっと増えていただろう。

 11月28日の契約更改では、そんな目に見えない部分の頑張りが「イニング数を結構投げてくれた(81回2/3)ことが、一番評価したところ」(渡辺久信GM)と認められ、400万円アップの年俸2000万円をかち取った。

 期待料込みの昇給に、隅田は「逆襲の1年にしたい」とリベンジを誓い、今季は9月17日のロッテ戦で9勝目。見事2年目の飛躍を遂げた。
 

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