一方、J2連続6年目の大宮は、非常に厳しい状況に追い込まれている。2005年からJ1で10年間、しぶとい戦いぶりで「残留力」を発揮し続けたクラブだが、2度目に降格した2018年以降はJ2暮らし。最初の2年は5位、3位でプレーオフに進出したが、2020年からは15位、16位、19位とJ2でも下位に低迷。そして今季は、現時点で最下位(22位)でJ3降格の危機に瀕している。
昨季途中から指揮を執った相馬直樹監督の下で臨んだ今季、開幕当初は不安定ながらもホームでは勝利して8試合を4勝4敗スタートも、第9節から8戦未勝利(1分け7敗)で相馬監督が解任となる。だが、以降も状況は好転せず、解任ブーストも全くの不発で、連続未勝利は15試合(2分け13敗)まで伸びた。
7月以降にようやく白星を拾い、直近2試合を2連勝して21位の金沢と勝点で並んだが、残り5試合で残留圏内の20位との勝点差9は「非常に厳しい」と言わざるを得ない。数字上、まだ残留の可能はあるが、シーズン最後の3試合の相手が、甲府(6位)、清水(4位)、東京V(3位)といずれも上位の相手であることが悩ましい。大宮がJ3に降格すれば、松本山雅、大分に続いて3例目となるJ1経験クラブがJ3行きとなるが、果たして……。
過去の例を見ても、J2に長くいればいるほど、主力選手がJ1クラブに引き抜かれることによって戦力維持が困難になる。J2降格初年度で上位を争っている清水、磐田の2チームも例外ではない。例えJ2降格となっても、「沼」にハマる前に素早く抜け出すことが、J1定着のための定石だ。
来季からJリーグ各カテゴリーが20チームに統一されることによって、J1昇格枠が「2.5枠」から「3枠」に増えた中、その3チームはどこになるのか。現時点でJ2の順位表を見ると、首位を快走する町田を除き、2位以下に磐田、清水、東京V、千葉、甲府と「元J1クラブ」が並ぶ。9位の大分もJ1参入プレーオフ圏内の6位までわずか勝点差2の位置にいる。沼からの“脱出”か、それともさらなる“深み”か……。J1昇格争いは大混戦のまま、シーズン最終盤を迎えようとしている。(文・三和直樹)