一人暮らしに必要な金額は月24万~26万円
だが、1千円を超えたからといって喜んではいられない。
「時給1千円でも、週40時間働いて年収は200万円程度。ギリギリの生活を送ることはできると思います。しかし、たまに旅行に行ったり友人と外食をしたりする、憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活を送ることはできません」
そう指摘するのは、社会保障が専門の、静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授だ。
中澤准教授は2015年から労働組合と協力し、全国27都道府県で「最低生計費試算調査」を行っている。
ワンルームの賃貸マンション(25平方メートル)に住む一人暮らしの25歳男性を対象に、生活実態や持ち物の数量を調べ必要な費用を積み上げた。その結果、一人暮らしの若者が、健康で文化的な生活を送るには月24万~26万円(税・社会保険料込み)が必要になることがわかった。この金額を月の法定労働時間(月173.8時間)で換算すると、時給1500円になる。
「つまり、一人暮らしで安定した生活を送るには、最低でも時給1500円が必要です」(中澤准教授)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年10月9日号より抜粋